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東京簡易裁判所 昭和34年(ハ)2209号 判決 1960年8月10日

原告 大熊新六

被告 日本電信電話公社

訴訟代理人 越智伝 外三名

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は被告は原告に対し金十五万円及び之に対する大正七年六月十八日より支払済に至るまで年五分の割合による損害金を支払え訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め其の請求の原因として

一、原告は被告に対し大正七年六月十八日電話加入を申込み申込順番大正七年第九九〇八号を以て右申込を受理せられその申込料として金十五万円を納付した。それは申込をして申込料を納付せば電話官署では申込順に従つて電話を設置することとなつでいたからである。

二、其の後昭和二十三年頃から同二十五年頃までの間数回に申込当時の住所を管轄する大塚電話局に未設電話の件を、照会したが其の結末は不明であるとの回答を得たので昭和三十年の十月か十一月頃であつたが被告の落合長崎局に赴き問合せたところ昭和二十八年未設電話の権利者は届出でるよう新聞広告をした其の指定期間中に申出をしなかつた者は電話加入の権利を失効せしめたとの回答であつたそれでその事務担当の丸の内電話局にも交渉したが同様の回答であつた。

之は被告に於て其の一方的な意思表示により明治大正に亘る未設電話加入者の権利を消滅せしめたものであつて之に依り当時二万数千人の未届者の権利は喪失せしめられた。戦災で家を焼失し職を奪われた者は新聞の広告を読む余裕もなき状況に在つたのであるから、かかる措置は権利の濫用というべきである。

三、そこでそれならば申込料の返還せられたき旨申入れたが当局は返還すべき規定がないとして之も拒絶せられた。

四、電話加入申込に係る権利は失効するとも既に納付した申込料十五円の返還請求権は存在するので右金十五円及び之に対する大正七年六月十八日より支払済に至るまで年五分の割合による損害金の支払を求めるため本訴請求に及んだ旨

被告の主張に対する反駁

五、被告は知れている権利者には各別に申出を催告しなければならないのに原告に対してはしていない。従つて原告は電話加入申込による権利と加入登記料返還請求権の二個とも有するものである。

六、仮に電話加入申込による権利が消滅しているとしても加入登記料の返還請求権の消滅は旧々電話規則(明治三十九年逓信省令第二十五号)第六十六条所定の加入者自ら申込を取消した場合電話の区域外に移転した場合、電話規則に違反して除名せられた場合に限定されているが原告はその何れの場合にも該当しない。

同規則第七十条は単に短期時効乃至除斥期間を規定しているにすぎないので此等の規則に依り原告は加入登記料の返還請求権を喪失することはない。

七、仮に加入登記料の返還請求権が存在しないものとすれば被告は納付された金十五円を不当に利得するものであるから不当利得に依る返還を請求するものである。

と陳述した。

被告指定代理人は主文と同旨の判決を求め其の答弁として

一、原告主張の事実中

原告が大正七年六月十八日電話の加入を申込み加入登記料十五円(申込料とは言わない)を納付し其の申込順位は大正七年第九九〇八号であること並に原告に対し電話が設置されなかつたことは之を認めるが被告に右加入登記料の返還義務あることは否認する其の余の事実は不知である。

二、被告の主張

(1)  未設電話の加入登記料及びその返還について

(イ)  明治三十九年六月四日逓信省令第二五号電話規則(以下旧々電話規則という)第五二条によると(加入申込者ハ加入登記料ヲ納ムベシ)と規定され本訴において原告が返還を請求するのは右加入登記料である。

しかして右旧々電話規則によると一定の加入登記料を納付し電話取扱局に電話の加入申込を為し電話官署がこれに対し承諾をすると加入申込の効力が発生し電話取扱局は申込の順序に基きこれを加入原簿に登記した上その順を申込者に通知し申込登記の順番によつて電話が開通せられることになる。

そこで右加入登記料は電話加入申込に伴う電話官署の受理、加入原簿の記入、開通順番の通知書の発送等の事務のための手数料的性質を有するものと解せられる。

従つてその性質上加入登記料は本来還付することを要しないものであるがただ加入申込者の責めに帰すことができない事由により加入申込の消滅又は取消があつた場合においても之を還付しないとすることは加入申込者に対し酷に過ぎると思われるので特に衡平上の見地からそのような場合に例外に還付を認めているものと解せられる。

(ロ)この旧々電話規則の規定に基いて受理された加入申込であつて公衆電気通信法施行時(昭和二十八年八月一日)までに加入電話が設置されるに至らなかつたものの取扱

右旧々電話規則第六六条によると

「左記ノ場合ニ於ケル加入登記料ハ加入申込者ノ請求ニ依リ之ヲ還付ス

一、第二十六条ニ依リ加入申込ノ消滅シタトキ

二、第四十八条ニ依リ加入申込ヲ取消シタルトキ

三、加入申込者法人ニシテ解散ノ為メ加入申込ヲ取消シタルトキ

四、申込後二ケ年を経過シタル加入申込ヲ取消シタルトキと定められており又同規則第七〇条第一号によると右第六六条による料金の還付請求は「加入申込消滅又ハ取消ノ日ヨリ六十日内」に当該電話官署になすべしと規定せられている。

(ハ) ところが昭和二八年七月三十一日法律第九八号有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法(以下公衆法施行法という)第一七条によると

「公衆法の施行前に納付し又は納付すべきであつた公衆電気通信役務の料金については旧電信法第十八条から第二十条までの規定は公衆法の施行後もなお効力を有する」と規定せられているが

旧電信法第一八条は

「電信又ハ電話ニ関スル既納及過納ノ料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除ク外之ヲ還付セス」と規定しこの料金等の還付を定める命令として昭和一二年一〇月一日逓信省令第七三号電話規則(旧電話規則という)第九八乃至第一〇七条の規定が存するのであるが右旧電話規則第一二一条一項本文によると

「明治三十九年六月逓信省令第二十五号電話規則ニ依リ受理セル加入申込及其ノ開通ニ関シテハ仍同令ノ規定ニ依ル」と規定されているから本件の如く旧々電話規則により納付された加入登記料の還付については旧々電話規則によるべきこととなり、前記の同規則第六六条及び第七〇条が適用されることになる。

(ニ) そこで本件の場合原告としては旧々電話規則第六六条に該当する限りにおいてのみ加入登記料の還付請求ができるのであるが原告においては加入申込の取消を請求した上で右第六六条第四号に該当するものとして加入登記料の還付を請求するものでないことはその主張自体より明白であるのみならず(しかも後記の如く昭和三〇年一月三一日に原告の加入申込に係る権利は消滅しているので爾後加入申込の取消ということは考えられないのである)又右第六六条の第一、二号に該当する場合でもないから原告に於ては本件の加入登記料の返還請求権はないものと解せられる。

(ホ) もとより右第六六条は本件の如き「加入申込に係る権利」の消滅した場合(その詳細は後述のとおり)を予想しているものではないと解せられる余地は存在するが、抑々右第六六条は旧電信法第一八条が特に命令に委任して既納の料金等を還付する場合を定めしめたところより例外規定として設けられたものにして同規定は料金等を還付する場合を限定して列挙したものと解すべきであるので、右第六六条に該当する以外の場合は原則に返つて旧電信法第一八条により料金等の還付をしないことになるのが当然の事理と解せられるのであり被告は本件加入登記料の返還義務はないと考える。

(ヘ) もし仮に右主張が理由なく原告が加入申込に係る権利の消滅に伴い右第六六条を類推適用して加入登記料を還付すべきものであつたとしても原告は旧々電話規則第七〇条第一号に規定する加入申込消滅後六十日内に還付請求をしないのであるから右期間の満了により原告の加入登記料返還請求権は消滅している。

(ト) 而して公衆法施行法第九条第二項に「公社は公衆法の施行の日から六月以内に少なくとも三回の公告をもつて前項に規定する加入申込に係る権利を有するものに対し最後の公告の日から一年以内にその請求の申出をすべき旨を催告しなければならない」と規定され

同第三項に「公社は知れている権利者には各別にその申出を催告しなければならない」とされ

同第四項に「第一項に規定する加入申込に係る権利を有するものが第二項の期間内に申出をしないときはその期間満了の日に消滅する」と規定されているので被告は右規定するところに基いて昭和二八年八月三一日付官報(乙第一号証)を以て第一回の公告をしついで同年一〇月三日付官報(乙第二号証)を以て第二回の公告をし更に昭和二九年一月三〇日付官報(乙第三号証)を以て第三回の公告をし尚明治三九年六月四日から大正八年六月六日までの間に電話取扱局で受理した加入申込(原告の大正七年六月一八日附加入申込を含んでいる)であつて公衆電気通信法の施行(昭和二八年七月三一日)前に加入電話が設置に至らなかつたものについては電話加入申込権届書を昭和三〇年一月三一日までに最寄りの電話取扱局に提出するよう催告すると共に「知れている権利者に右申出を催告する」ため原告に対しては昭和二八年一〇月電話加入申込権に関する届出についてお知らせと題する催告書(乙第六号証の二、三)を加入原簿記載の住所(この住所変更についての届出はなかつた)である豊島区巣鴨二の二〇一四宛発送したが「宛所ニ受取人尋ネ当ラス」(乙第六号証の一の附箋参照右附箋に豊島郵便局の日附印が押捺されることになつているが必ずしも常に押捺されるとは限らないものである。なお金田、菅原の認印は郵便局集配関係人のものである。)の故をもつて返還され(乙第六号証の一、二、三、乙第五号証)結局所定の申出期間である昭和三〇年一月三一日までに原告からは電話加入申込権の届書は提出されず、加入申込権につき何等「請求の申出」もなかつたので原告の「加入申込に係る権利」は右期間の満了の日に当る昭和三〇年一月三一日に消滅した。

右にいわゆる「加入申込に係る権利」とは電話開通の請求権のみならず加入申込を受理されたことによつて生ずる加入申込者の一切の権利、権能を総称するものであることはその文理上より明らかであり公衆法施行法第九条第一項に該当する加入申込者は(以下関係加入申込者という)なお従前の例によつてその権利を有するものとせられている。

しかして旧々電話規則によると未設電話の加入申込者は電話官署に対し電話開通の請求権(公法上のものか私法上のものか問題ではあつたが)を有する外加入申込後何時にても加入申込の取消を請求することができ申込後二年を、経過した申込の取消の場合は加入登記料の還付が請求できたのである。

然し右権利の行使については、公衆法施行法第九条二項以下の規定によつて関係加入申込者は「請求の申出」をせねばならないとされ前記の如く所定期間迄に「請求の申出」をしない場合には加入申込に係る権利関係は期間満了の日に消滅すると規定されているところよりすれば右「請求の申出」は加入電話の設置の請求のみならず加入申込の取消の請求、その場合の加入登記料の還付請求をも包含するものであり右請求の申出のない限り加入申込に係る権利関係はすべて消滅し、当該関係加入申込者と公社の間には加入申込に関していかなる法律関係も存しなくなると解するので、右施行法第九条第四項の規定により加入登記料の返還請求権を含めて一切の加入申込に係る権利は消滅するものと考える。従つて原告が本訴において主張するところの加入登記料の返還を求め得べき権利も昭和三〇年一月三一日限り消滅したのである。

(2)  原告主張の不当利得について

前述の如く加入登記料は旧々電話規則第五二条に基き原告より被告側に納付せられたものとして法律上の原因が存し何等不当の利得たる性質を帯びるものではなく本件においては右加入登記料の返還を請求すべき権利は原告側に存在しないのであるから被告側においては右加入登記料を返還しないからと云つて不当の利得か存在するいわれはない。

旨陳述した。

証拠関係<省略>

理由

原告が被告に大正七年六月十八日電話加入の申込を為し加入登記料十五円を納付し其の申込順番は大正七年第九九〇八号であること並に原告に対し電話が設置されなかつたことは当事者間に争がない。

右加入申込は明治三十九年六月四日逓信省令第二五号電話規則(以下旧々電話規則という)に依拠したものであることは当裁判所に顕著な事実であるこの場合電話加入者は一定の加入登記料を納付して電話取扱局に電話の加入申込を為し電話官署が之に対し承諾をすると加入申込の効力が発生し電話取扱局は申込の順序に基きこれを加入原簿に登載して其の順番を申込者に通知し申込登記の順番によつて電話が開通せられるものであることは被告の自認するところである。

而して原告はこの旧々電話規則の規定に基き受理された加入申込であつて昭和二八年七月三一日法律第九八号有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法(以下公衆法施行法という)の施行時同年八月一日までに加入電話が設置されるに至らなかつたので既に納付した加入登記料の返還を求めるものであることは当事者間に争がない。

依つて右未設電話加入申込者の取扱について考察するに右施行法第九条第一項において「旧電話規則(明治三十九年逓信省令第二十九号)の規定により受理された加入申込であつて公衆法の施行前に加入電話が設置されるに至らなかつたものについては同法の施行後もなお従前の例による」と定めているのみならず同法第十七条に「公衆法施行の施行前に納付した公衆電気通信役務の料金については旧電信法第十八条から第二十条までの規定は公衆法の施行後もなおその効力を有する」と規定されている。その旧電信法(明治三三年三月十三日法律第五九条)第十八条は「電信又ハ電話ニ関スル既納及過納ノ料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除ク外之ヲ還付セス」と規定して料金の還付の定めを電話規則(逓信省令)に譲りこの料金の還付を定める命令として昭和十二年十月一日逓信省令第七三号電話規則(以下旧電気規則という)があつて同規則第九十八条乃至第百七条を以てその定めが為されているが同規則第百二十一条本文によると「明治三十九年六月逓信省令第二十五号電話規則に依り受理セル加入申込及其ノ開通ニ関シテハ仍同令ノ規定ニ依ル」と規定されているから本件の如く旧々電話規則により納付せられた加入登記料の還付については旧々電話規則に拠ることとなり同規則の第六十六条及び第七十条が適用されることになる。

而して原告は加入登記料の還付額請求は右第六十六条の各号に該当する場合に限り之を為し得るのであるが本件の場合の請求は同条第四号に該当するによる加入登記料の還付請求でないことは原告の自陳するところであり其の他の各号にも該当しないこと明白であるから原告は其の還付請求権を有しないものと謂わねばならない。

尤も右第六十六条は本件の如く加入申込に係る権利の消滅した場合の予想していないのではないかとの解釈の出てくる余地のないことはないが旧電話規則第百二十一条旧々電話規則第六十六条と旧電信法第十八条との関係は加入登記料の還付に関しては前者が後者の特例を定めた特別法を為し後者か前者の一般法を為す関係に立つものと認められるから(従つて右第十八条の委任命令たる旧電話規則第九十八条乃至第百七条は適用する余地がない)先つ右第六十六条が優先的に適用され右第十八条は第二次的に適用されるものであるから右第六十六条に該当する以外の場合は一般法にかえつて旧電信法第十八条に依つて料金等を還付しないこととなすが条理上当然であり被告に本件加入登記料返還の義務はないとすべきである。

尚被告は本件加入申込に係る権利の消滅に就ては次のとおりの手続を履践している前記の如く公衆法施行法第九条第一項に「旧々電話規則の規定により受理された加入申込であつて公衆法の施行前に加入電話が設置されるに至らなかつたものについては同法の施行後もなお従前の例による」とされているがその第二項に「公社は公衆法の施行の日から六月以内に少くとも三回の公告をもつて前項に規定する加入申込に係る権利を有する者に対し最後の公告の日から一年以内にその請求の申出をすべき旨を催告しなければならない」と規定し同第三項に「公社は知れている権利者には各別にその申出を催告しなければならない」と定め同第四項に「第一項に規定する加入申込に係る権利を有する者が第二項の期間内に申出をしないときはその権利はその期間の満了の日に消滅する」と規定されている。

そこで被告は此等規定に基いて明治三十九年六月四日から大正八年六月六日までの間に電話取扱局で受理された加入申込であつて昭和二十八年七月三十一日以前に加入電話が設置されなかつた者に対し昭和二十八年八月三十一日同年十月三日昭和二十九年一月三十日の各官報を以て電話加入権に関する届出の公告を為し電話設置の請求の申出等をすべく催告し其の届出書を昭和三十年一月三十一日までにもよりの電話局に提出するよう求めたことは成立に争ない乙第一乃至第三号証に拠りて明かである。

又官署の作成に係るを以て真正に成立したと認める乙第四、五号証第六号証の一乃至三に依れば昭和二十八年十月頃原告に対して加入原簿記載の住所である豊島区西巣鴨二の二〇一四宛に電話加入申込権に関する届出についてお知らせと題する催告書(其の記載内容は右官報掲載の公告と同旨である)を発送したが豊島郵便局の宛所ニ受取人尋ネ当ラスとの符箋付で返送されて来た事実を認めることができる。

併しながら原告に於て届出の申出期間である昭和三十年一月三十一日までに電話加入申込権の届書を提出した事実並に加入申込権に基く請求の申出をした事実は之を認める証拠がないので原告に於て右の届出をしなかつたものと認定する。そうとすれば原告の加入申込に係る権利は右期間の満了の日に当る昭和三十年一月三十一日に消滅に帰したものである。

而して右にいわゆる加入申込に係る権利とは電話開通の請求権は勿論のこと加入申込を受理されたことによつて生ずる加入申込者の一切の権利を総称するものであることは文理解釈上明白であり又右第九条にいわゆる「請求の申出」とは旧々電話規則による加入電話の設置の請求、加入申込の取消の請求、加入登記料還付の請求等を包含することは右公衆法施行法の趣旨に照らし認められるので原告の有する加入申込に係る権利関係は右昭和三十年一月三十一日に全面的に消滅したのであるとしなければならない。従つて無論加入登記料の還付請求権も同日に消滅したものである。

原告は公告当時戦災の回復が出来て居らないで官報の公告等も知る余裕がなかつたのであるから斯る者に対しても加入申込に係る権利を消滅せしむるは権利の濫用であると主張するけれども被告は未設電話処理の為めに設けられた法律に規定せる正規の手続を履践して失権の効果を生ぜしめたものであることを前記認定の如くであるから之を目して権利の濫用ということは出来ない依つて此点に関する原告の請求は失当たるを免れない。

次に不当利得に基く返還請求の点を按ずると

不当利得の返還請求は法律上の原因なくして他人の損失に於て利得を得た者に対してなし得るものであるところ本件加入登記料は旧々電話規則に基いて納付せられたもので法律上の原因が存在しているのみならず元来加入登記料は電話加入申込に伴う電話官署の受理、加入原簿の記人、開通順番の通知の発送等の事務のための手数料の性質を帯びたものであるから本来還付すべきものでない為め法は電話官署に利得を保有せしめることが公平を欠く場合に限り例外的に還付を認めているのであるが本件に在つては其の公平の立場上認められた還付請求権を喪失しているのであるから不当利得による加入登記料返還請求権の生ずる余地のないものと謂うべきである此点に於ても原告の請求は失当である。仍て原告の請求を棄却し訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 藤本久一)

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